君と俺の事情


あ〜…。
めちゃくちゃ疲れたぁ。
つか、劉怖すぎ。
あんなに怒られるとは。


『だから!!何回言えばわかんだよ!!』

『ご、ごめんなさーい!!』

『落ち着け、落ち着けってば!!』


躊躇い。
恥じらい。
それが邪魔して、上手く歌えない〜。
あと2週間なのに…大丈夫かなぁ俺。


「長瀬!」

「紗夜!こんな時間まで何してんの」

「ちょっとね」

「?送ってくよ…」


もう一般の生徒は下校してる筈なのに。
どうしてこんな時間まで…。
しかも今、8時半だよ?
紗夜は女の子なのに、こんな時間まで1人でいるなんて…。
危ないよ、危ない!


「あのさ、頼み事あるんだけど…いいかな?」

「ん〜?」

「ベストカップルショーに、あたしと出てほしいの」

「…え?」

「お願いだから!」


そう言う紗夜。
でも、あれに参加するには……。


「無理だよ」

「な、なんでよ!!」

「条件があること、知ってるだろ?」

「…そうだけど…」


ベストカップルショーに出場するには、参加条件をクリアしなきゃいけない。
・ちゃんと付き合ってる。
・付き合って1週間経ってる。
・証人者がいる。
・恋人のどちらかが、バンド発表に参加してない。
俺達は全部クリア出来てない。
出来てたとしても、俺は参加しない。


「何をしたいか知らないけど、無理だから」

「あ、ちょっと、長瀬!」

「俺は利用されるマネは御免だから」


俺は、冷たく言い放った。
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