恋愛の条件
「奈央ってさぁ、自分のことプライドが高いってよく言うけど、本当はプライド高いんじゃなくて、臆病なだけじゃないの？」

「……っ？」

不意に沙希が真面目な口調になる。

「プライドが高っていうのは私みたいなタイプのことを言うのよ？あんたのは正面から修一とぶつかって傷つきたくないから逃げているだけでしょ？」

「………」

「体裁気にするって言うより傷つきたくなくて、意地張って、プライドを理由に自分の気持ちと向き合うのを避けているだけよ？」

沙希の言っていることは合っている、合っているのだが……

「だって……」

「だって何？」

「３年前に十分傷ついたもの。それにこの感情を認めてしまったら、本気でぶつかったら、もう後戻りできなくなる。思い知らされることになるから」

「何を？」

「どんなに好きだったのかって、ね？絶対に手に入らない男にどっぷりハマるってかなりの精神力と体力がいるのよ」


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