恋愛の条件
「黒沢さんと結婚のことで言い争いになったんですか?」

「………」

核心をつく佐野の問いに何も答えられず、奈央は黙り込む。

「プロポーズされて意気揚々とニューヨークに連れて行かれたけど、セックス三昧で一向に結婚してくれる様子がないから、奈央は怒っているのよね?」

「さ、沙希のバカッ!そんなことここで大きな声で言わないでよっ!」

「うるさいなぁ。奈央の声の方がでかい」

顔を真っ赤にして睨む奈央なんてお構いなしに、ケラケラと声を上げて笑う。

どうやら沙希は、半年振りに返ってきたドМの親友を苛めることが楽しくて仕方がないらしい。

「あ、あの……」

顔を真っ赤にしているのは佐野も一緒だ。

「あっ、ここにもドМが一人♪」

「わ、私は別にえ、え、Мなんかじゃ……」

「やだ、佐野さん、かわいい~」

ゆでダコのように顔を真っ赤にしている佐野に、いじられキャラの奈央ですらからかいたくなる。

二人の先輩に頬をつつかれ、佐野はどう反応していいのかわからない。




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