恋結び【壱】

第十六話 大好きなモノ



新年。
あたしは朝からお餅を食べていた。
焼いた餅に醤油がかかりのりを巻いてある。

隣には翔太くん。
翔太くんもあたしと同じような格好をしていた。
餅を食べ、テレビを見て。


「あ」

いきなり翔太くんがあたしの方を見て指を指した。

「それ、もらったやつ?」

「え、ああ」

あたしは曖昧な返事を返しつつもつい俯き照れてしまう。
胸元に光るシルバーのネックレス。
きっとあたしに合わせたのか、ダイヤがハートの形をしていた。

そう、遥からのクリスマスプレゼント。
誕生日プレゼントはクマさんのぬいぐるみだった。
可愛いからいつも抱き枕として夜使っている。


「良かったな」

「うん」


あたしは笑顔を見せる。
最近、翔太は優しくなった。
遥の話や、遥にまつわる事など全てに今まで気に食わず意地悪だったのだが。


『俺は子供だった。あの時も…そして今でも』


泣きながらのあの現場にて、翔太くんは変わっていった。

あたしはそんな翔太くんを見習いたい。
自分より大人な翔太くんだからこそ、悔しいけどあたしも変われるような人になりたい。


「なに、深刻な顔してんの」


翔太くんがあたしの表情に気付いたのかあたしの頬を人差し指で刺してきた。
あたしは笑顔を作った。


「ううん。なんでもない」


無理にじゃない。
心から謙虚に。
あたしらしい笑顔で。



「…その方が、お前らしいよ」



翔太くんの声はあまりにも小さく、あたしは聞こえていても聞こえないふりをした。










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