Whisper.

*記念日




時計を見ると、既に18時30分過ぎ。



まだ2月の上旬で風は冷たかった。



健太が帰り際に肩にかけてくれた
上着をちゃんと着ていないから
風で煽られる。





健太から私の家まで普通に歩けば
15分かかるかかからないか。



だけど、今日は既に30分経っている。



いつもと違う道を通ってるからなのか
過去に捕らわれているのか。





キラキラ光るパネル、看板。



七年前とは何も変わってなくて…
虚しさが蘇るだけ。




「…待ってたよ。…ちゃんと。」




相変わらずの噴水。



改装途中の駅。



あの時、この駅は錆び付いていたっけ。



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