裏切りの足音
二人の姿が影に呑み込まれる。

「あっ、そうだ。一つリウに言っておきたいことがあったんだ」

「ん? なに?」

マノンはちょっと拗ねた顔をして、リウを指さした。

「ちょっとボクの姉さんに、甘え過ぎじゃない? 姉さんはボクの獲物なんだからね!」

「マノン…」

リウの笑顔が固まる。

「キミ…ちょっと思っていたけど」

「何だよ?」

「重度のシスコンだろう?」

ガンッ!

マノンの怒りの鉄拳が、リウの頭上に落とされた。

「あいたっ! …暴力的なところは、血のつながりを感じるよ」

さっきよりもよりいっそう拗ねたマノンと、涙目になりながらも苦笑しているリウを呑み込み、影は消えた。
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