小話帳
それでも僕らは














『好きな人ー?いるけど?』

「「「「「「!!!!」」」」」」









そう笑う彼女に俺たちは声を出せなかった。






同じ部活の俺たち6人。そのマネージャーの**。








気付けば支えてくれる彼女が何より大切になって。各々が好きだと自覚したときにこの事件は起こった。










「えーっと…?」










今日は部活はオフだが上級生だけでミーティングをしていた。彼女は早く帰りたがっていたが長く共にいたい俺たちは彼女を引き止めた。そしてこの話。












「好きな人、いるん、だ」

『いるよー』












ニコッと笑ったんだけど、その笑顔は何処か寂しかった。













『もうその人しか愛せないっていうか…愛しちゃダメ?みたいな』

「…誰なの?その人」











そこまで彼女を好きにならせたのは誰だ、と興味を持った。彼女は携帯を弄りだす。二次元?だったらまだなんとかなる











そして見せてきたのは、男の人とキスをしている**のプリクラだった。









『これ、死んだ元彼』









その言葉に僕らは冷えた。










『私のせいで死んだんだ、…悪いけど、もう帰るね』










立ち上がり歩き出そうとした彼女の腕をつかむ。



それをいつもは穏やかな彼女はすごい剣幕で振り払った。













『…ごめんね、今日…命日なんだ』











走り出す彼女。呆然とした俺たち。伸ばした手は捕まれることはない。






でも、それでも







―それでも僕らは―




(やっぱり君を望むんだ)





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