バケバケ2
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「キリさん…」
部屋にいたのはキリさんや兄貴たちだった。
俺が10年前一緒に過ごした昭仁さんから生まれたバケバケたち。
「どうしたんだよ?早くこっち来いよ、シイ!」
「…え、あ…」
「ほら、座った座った!」
キリさんに無理やり引っ張られ、椅子に座らされた。
この部屋…あの時の部屋だ。
梅雨さんが食事を振舞っていた部屋…
「お帰り、シイ。」
「兄貴…」
ここには、みんないた。
昭仁さんが亡くなって、持ち主のいなくなったバケバケたちは力を失い消えていった。
もう会えない人たちがここにはいた。
「またここでみんなで暮らそう。」
また…
あの頃みたいに…
「ダメだ、俺は…」
洋子のいない世界で生きていけない。