バケバケ2




✳︎✳︎✳︎






「キリさん…」







部屋にいたのはキリさんや兄貴たちだった。


俺が10年前一緒に過ごした昭仁さんから生まれたバケバケたち。


「どうしたんだよ?早くこっち来いよ、シイ!」


「…え、あ…」


「ほら、座った座った!」


キリさんに無理やり引っ張られ、椅子に座らされた。


この部屋…あの時の部屋だ。


梅雨さんが食事を振舞っていた部屋…


「お帰り、シイ。」


「兄貴…」






ここには、みんないた。








昭仁さんが亡くなって、持ち主のいなくなったバケバケたちは力を失い消えていった。


もう会えない人たちがここにはいた。








「またここでみんなで暮らそう。」








また…


あの頃みたいに…








「ダメだ、俺は…」


洋子のいない世界で生きていけない。







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