バケバケ2




敷島はカップのコーヒーを一口飲んだ。


そして苦かったのか顔をしかめながらカップをテーブルに戻した。


「…その女に斬られた男、苗字が敷島なんスよ。」






つまり斬られた男本人が本を書いたってことか。


ということは斬られた男は生きていた?


「その女、男を斬った後刀の姿になったそうっス。それから、赤月姫は主を斬る呪いの刀として敷島家に受け継がれていったっス。」


「刀が女に…ねぇ。」


灰音は息を吐きながらソファーにもたれかかった。


「赤月姫はバケバケになったんだな、たぶん。」


灰音の言葉にエレジーがすぐさま反論する。


「でも、すぐに刀に戻ったのよぅ?」


バケバケは自分の意志で元のモノに戻ることは出来ない。


これは俺も元バケバケだったからよく知っている。


「世の中にはそういうバケバケもいるってことじゃね?」


灰音は細かい部分にはそれほど興味がないらしい。




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