バケバケ2




兄貴は泣いていた。


みんなのリーダー的な存在である兄貴の涙を俺は初めて見た。


「兄貴…梅雨さんは…?」


キリさんが震える声で兄貴に尋ねる。


「……」


兄貴が首を横に振る。






間もなく、何人かのバケバケが騒ぎをきいて中庭に駆けつけた。


そしてその誰もが、兄貴と兄貴の腕の中にいる梅雨さんを見て何が起こったか悟った。








翌日。


バケバケたちと昭仁さんとで、梅雨さんの葬儀が行われた。


誰もが泣いていた。


「誰がこんなことを…」


キリさんが俺の隣で言った。


キリさんは、時雨と梅雨さんの契約の話を知らない。


キリさんだけじゃない。


俺と兄貴を除くほとんどのバケバケがこの契約の話を知らないだろう。









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