作品集・LOVE MELODY
「…パパ…パイパイ」


俺と麻都香は玄関先で遥人を見送った。


遥人はまた、俺と会える日を楽しみに待って、無邪気に笑って手を振る。


その姿とは対照的に宝本は俺に鋭い視線を向けた。


「バイバイ」
俺は宝本に言われた言葉を胸に刻み、遥人にはさよならの挨拶だけで他は何も言わなかった。



宝本に手を引かれ、出て行く遥人。

閉まった扉が俺の視界から、二人の後姿を遮った。


二度と会えないかもしれない…俺の息子。


俺は唯、遥人が幸せであるコトを祈った。


「凪人…」


俺は新たな家族になる麻都香を抱き締めた。


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