作品集・LOVE MELODY

キスの値段~瑠果side~

* * *
私と夏目さんは無事にエレベーターの中から救出された。


忙しい夏目さんは、心配してずっと私たちを励まし続けた郁弥副社長に書類を押し付けて企画部に戻ってしまった。



「余計な心配かけさせたくないので…父には報告しないで下さい」



「瑠果ちゃんがそう言うなら…報告しない」



私は副社長室のソファに座って郁弥副社長とお茶を飲んでいた。



「ソワソワしてどうしたの?」



「まだ、みんなは勤務中なのに…一人だけ…仕事サボって休憩は気が引けて」




「君は桐生議員の令嬢だし…ウチの方が気を遣うよ」



「…すいません」



「謝らなくても…」


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