作品集・LOVE MELODY
「…ご両親のコト…訊きました」



虫の羽音のように弱々しいか細い声。



「…私と一緒に行って欲しい所があります」




「いいけど…君はこれで良かったの?」



「はい」



俺は瑠果の見合いを壊して…安堵していた。




「…父に代わってお詫びします」



瑠果は俺に頭を下げる。


結い上げた髪に挿した小花の簪にが揺れた。



彼女の思い詰めた表情は俺に対する謝罪の意思だった。

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