作品集・LOVE MELODY

突然のデート~麻都香side~

「朝一番に並べば…待ち時間も短く済むらしい」



課長は誰かと行くつもりでリサーチしていたようだ。
私たちはホテルをチェックアウトして、スカイタワーに向かって歩く。

周辺の店も開いていない朝8時半。
私たちはスカイタワー前に出来た人の列に驚く。


「これは想定内だな…ざっと見積もって300人か…」

「・・・」
私の冷めたリアクションとは裏腹に課長は舞い上がっていた。

「さっきのホテル代いくらですか?」

「別に構わん…」

「課長に借りを作るのは嫌です!」


「気が強いのはいいが、男が奢ってやると言ってるんだ…素直に受けろっ」


「・・・」


いつもはキレイに固まった課長の黒い髪。でも、今は崩れ、急に吹いた強い風に煽られた。


シャンプーの匂いが私の鼻腔を掠める。


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