月下の幻 太陽の偽り (仮)
真実への畏怖
信じられなかった。

信じられるはずがない。

私の本当の名前がアリンだなんて…

この日本で育って、日本人であると疑うことすらしなかった私の本当の名前が日本人離れした「アリン」

それも、漢字で当て字もしないカタカナの「アリン」…

今の珍妙な名前を子供に付ける昨今なら百歩譲って納得は出来るが、私は20歳、20年前に「アリン」はそれこそ理解不能だった筈。

どうしてアリンなんだろう。

弱火で茹でた肉じゃがの火を止め近くにあった椅子に腰を掛けた。

あまりにもタイムリーな話題が自分の身近に起き、未だ頭の整理が追いつかない。

ガラフが私の顔をみて、一目散にアリンと私に言ったその風景が脳裏によぎった。

あれが冗談で起こせるリアクションには思えなかったし、今の状況からしてもガラフが私にアリンと言ったのは間違いでは無いのはわかる。

そうするとガラフは私の関係者、と自然にそうなる。

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