高野先生の腕のなか



高野は私が用事で数学教諭室を訪れる度、壊れないようにそっと私を包み込んだ。


背は高くはないが低くもなく、骨ばってはいるが痩せっぽちではない高野の体が私を覆うと、どこか懐かしい感じがして、その度に私は安堵した。



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