好きをギュッとつめこんで

 おばさんが犬の散歩をしていたり、小学生が公園で騒いでいたり。

 4年近く通った道だから、どこかで見た顔ばかり。

 こんにちは、くらいしか会話などしたことがないのに、なんでこんなにも恋しいんだろう。


 目的のアパートは、3階建てでほのかにピンク色をしている。

 夕日の中に溶け込みそうな色だと、前から思っていた。

 かわいいだろう?と、“かわいい”が似合いもしないくせに言っていた。



 らせん状の階段を登って、目的の3階、端から2番目。

 チャイムを鳴らして、ドアが開くのを待つ。


 しばらくして開いたドア。

 少し開いたらすぐ閉まる。

 いつものこと。

 笑いながら、「こんばんはー」と言えば、「いらっしゃい」と言いながらドアが開いた。

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