はらり、ひとひら。
雨が降る日の森は、静かだった。なんだか幻想的でノスタルジックな気持ちになる。
「邪鬼の気配だ。また狩られたね」
「気配はどう?」
「近い。…来る」
灯雅の言葉を聞き、鞘から引き抜く。ぎらりと冷たく光ったそれを指で軽く撫でると熱を持った。
「…頼むよ」
『人、食う、血を寄越せえ!』
草木をなぎ倒し、こちらへやって来たもう妖でも物の怪でも─何者でもなくなったものに俺は刀を向けた。
「去れ」
化け物の身体に、一本の亀裂が入る。裂くようにしてじわりじわりと、その場所から橙色の炎が上がる。