はらり、ひとひら。
「おの・・・れ、生意気な・・・
ヒヒヒ、逃がさん…桜子」
扉の向こうで、妖怪がどんな形相
で私を睨んでいるのかなんて否が
応でも分かる。
とにかく、急いだ。
「──たすけてっ」
声がカラカラだ。
喉の奥も、焼け付きそう。
私はもつれる脚でおじいちゃんの部屋へと向かっていた。
手にしたのは、あの巻物。
私はそれをぎゅっと抱きしめた。
「──助けておばあちゃんっ…!!」
噛みしめすぎて滲んだ唇の血を拭い、がたがたと震える体を抱いた。