はらり、ひとひら。


体が震えた。並ならぬ迫力だ。神格の妖よりもっと上、非にならないほどのずば抜けて強い力を感じた。直視できない。…これが、神。


先頭に立つ、布で顔を覆い隠した神が白神様に告げる。



「天上より貴殿の行動を拝見していた。神を想う強い気持ち、確かに届いた。ぜひ共に高天原へ」


差し伸べられた手を白神様は、とった。



「─ありがとう存じます」



ふわりと白神様の体は浮かび上がる。淡い光に包まれたその姿はまるで…



「修行を終えれば再び地へ戻るもよし、天上で暮らすもよし、貴殿の自由である」


「…はい」


「参ろう」


踵を返した一行は妖たちに目もくれず光の階段を上り雲間を裂いて昇って行く。尾を引く光の軌跡は、この世のどの絶景よりも美しく尊いものと思える。


最後尾についた白神様は、割れ汚れた面を外すと私の手に置いた。








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