はらり、ひとひら。
「杏子。お前の名だな?」
「え?そう、だけど・・・」
なんで私の名前、知っているんだろう。
「妖に、追われているのか」
あやかし?妖怪のことかな。
九尾狐がゆっくり近づく。
と、そこでようやく意識が覚醒する。なんだかこの妖怪のペースに呑まれてしまった。
「…そうだった!逃げないと」
「全く世話の焼ける。お前には先の貸しがあるからな」
「え・・・」
助けてくれるの?
「お前は・・・私が護ってやる」
確かめるように。又は、すがるように。誓うように。
そう言われた。