はらり、ひとひら。


「杏子。お前の名だな?」

「え?そう、だけど・・・」


なんで私の名前、知っているんだろう。


「妖に、追われているのか」


あやかし?妖怪のことかな。
九尾狐がゆっくり近づく。

と、そこでようやく意識が覚醒する。なんだかこの妖怪のペースに呑まれてしまった。


「…そうだった!逃げないと」


「全く世話の焼ける。お前には先の貸しがあるからな」


「え・・・」


助けてくれるの?


「お前は・・・私が護ってやる」


確かめるように。又は、すがるように。誓うように。

そう言われた。
< 47 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop