はらり、ひとひら。


「黄泉がえりに必要なのは『声』と『出口』。絶えない呼び声と迎え入れる出口。それこそが、黄泉がえり成功の鍵だった。もし琥珀とあなたさまがいなければ、私はあのまま戻って来れなかった」


声は、琥珀。50年もの間、ざくろさんを忘れることなく呼び続けた。いつか戻ってくれるように、信じて呼んだ。


じゃあ出口は…


「私?」

「そのようで。とても温かい良い匂いにつられていくと、光が見えたの」


温かいいい匂い。光。


「あ…!人身犠の術…」


私はあの時、櫛で傷口を開いて術に使った。まさかその時ついた血が─



「その通りだ。さっきも言ったが、修羅の血は妖を引っ張るからな。…偶然に偶然が重なった結果だ」


「本当に、感謝してもしきれません」


ざくろさんは何度も頭を下げた。
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