はらり、ひとひら。


「っ」

堪らず目を逸らした。胸が苦しい。

息をついて心臓を落ち着かせてから、再び写真に目をやった。


「……おとう、さん」


まだ家族が、三人だった時の。よく行った遊園地のゲートをバックに、風船を持った私は両親に囲まれて屈託なく笑ってる。


目が細い、細身で長身の父。いつも笑ってるから、まだ若いのに目じりには笑い皺がある。


─大好きな父を、想わない日なんてなかった。

でもどこか、無理やり忘れようとしていたところがあるかも。つくづく親不孝だなぁと自嘲気味に笑う。


「…なにしてんの?」

不意に響いた声に飛び上がった。びっくりしすぎて悲鳴も出ない。

私のリアクションに海斗も驚いたのか、唖然としている。


「何これ。アルバム?」

「あっちょっと!」


海斗はアイスバーを食べ終えると私からアルバムを奪い取った。


「へえー、姉ちゃん昔こんな顔してたんだ」

「う、るさいな。可愛いでしょ!?」

「え? 目おかしいんじゃないの?」


ぶっ叩いた。


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