[完]大人の恋の始め方




「姉貴の夢、ほんとはパリコレで自分のドレスを着てもらう事。」



その言葉は、あたしの肩に、ずんっと重荷を乗せる。



つまり、今回のフランスでの発表会は、あたしにとっての準備期間。



「ねぇ優斗さん。あたしは、夢とかなくて、正直優里花さんの気持ちが、分かってあげられてないの…。そんなあたしが…、優里花さんの夢、背負っちゃっていいのかなぁ?」



昔からそう。


あたしには将来の夢とか、夢いっぱいの気持ちとか、持てなかった。


いつも、その時やりくり出来ればいいやって。



こんな適当な自分が、優里花さんの大事な夢のカギを握ってしまっている。



正直、戸惑いも隠せないのが本音。



「夢がない…か」



「うん…」



あたしは、ソファーに体育座りをして、コーヒーを両手で包み込む。



「……あ」



急に何かを思い付いたような笑みを浮かべる優斗さん。


その笑みは、夜だからなのか、やけに妖艶で…。



思わず胸も高鳴るものだ。



「なぁ。俺、いいこと思い付いたぜ?」



やけに自信満々の彼に、あたしは首を傾げ、つぎの言葉を待った。




< 167 / 500 >

この作品をシェア

pagetop