[完]大人の恋の始め方




「呆れた。それ、付き合ったとも言えないでしょ」



冷たく言い放った心美。



そんな心美を、友美は涙目ながら睨む。



悔しいんだろうな。
間違っていない事だから、言い返す事も出来なくて。



友美の性格上、心美に言われた一言でズタボロだと思う。



なんだかそんな雰囲気が嫌で、あたしは話を変える事にした。



「ねぇ?夕ご飯、何がいい?」



わざと明るい声を出すと、それに心美が乗ってくれた。



「うんとね~っ、肉じゃが食べたい~」



「心美昔から好きだもんね~」



そう言いながら、キッチンへ入っていくあたし達の後ろを、ソロソロとついて来る友美。



それが何だか可愛らしい。


心美と目が合って、思わず微笑む。



「さーっ!作るぞぉっ」


テンションが上がった心美の隣で、あたしはジャガ芋の皮を剥き出す。



友美も人参の皮を剥く。



「そういえば、3人で料理って、バレンタインのチョコフォンデュ以来だねーっ」



あの時は楽しかったなぁ。



唯一、友美も彼氏が居なくて、3人でめちゃくちゃ楽しんだのを覚えてる。



…………―――



「やっばっ!!めっちゃおいしそう~」



すっかりいつもの調子に戻って、目を輝かせる友美。



< 229 / 500 >

この作品をシェア

pagetop