[完]大人の恋の始め方
暫くして、ドアをノックされる。
「杏里ちゃん、少しいいかなぁ?」
それはありすちゃんの声。
「…はい」
入ってきたありすちゃんの目は、ほんのり赤い。
だけど、そこに触れちゃいけないって、何と無く悟った。
「今日はごめんね?急に居てビックリしたでしょ?」
あたしとありすちゃんは、ベッドに二人座る。
「いえっ!
むしろ嬉しかったってゆうか…」
一応ファンなので…。
「ふふっ。ちょっと、昔の話、しようか?」
ありすちゃんが、遠くを見るような目をする。
「ありすね、中学生のとき、初めて優斗に会ったの。
今よりずっと幼いけど、ありすたちの年代では、かなりモテて。
ありすも、その中の一人だったの。
優しくて、かっこよくて、頭よくて、運動できて。
憧れの的。
それで志望校も同じにして。
そんなある日、彼はモデルになった。
余計にモテる彼にどうしても近付きたくて。
あたしもモデルを目指した。
やっとモデルになって、彼に告白。
結果はもちろんダメ。
でも諦められなくて。
そんなある日、彼はヘアーメイクリストとして、ありすの前に現れた。
やっぱり彼が好き。そう思えた瞬間で、今年の春に告白したの。
でも、俺はありすを、そんな目では見れないって言われちゃったの」