もっと大切にする~再会のキスは突然に~

「葵、もうあがれそう?」


同僚の繭子ちゃんが化粧っ気のない顔で声をかけてくる。仕事の時はいつも眼鏡をかけていて、色素の薄い綺麗な髪を無造作にまとめている。


「もうあと一人~」

「そう。じゃあご飯食べに行こう。先に着替えて待ってるね」


独身の私たちは、業務が終わると連れ立ってご飯を食べに行くのが常となっている。

特に日勤業務が終わった後は疲れきっていて、自炊するのが億劫だったりするからね。

最後の一人分の看護記録を入力し終えた私はいそいで更衣室に向かう。
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