もっと大切にする~再会のキスは突然に~

それにしても、なかなか落ち着いてたじゃん…と河合クンの白衣姿を思い出す。


ああいうとき、まずは医者が慌ててしまうと悪影響しか及ぼさない。

同じように、中堅と呼ばれる私のような看護師も慌ててしまえば後輩の看護師や若い医者だけでなく、患者さんにも悪影響を及ぼしてしまうから、私は脇汗びっしょりでも声を荒げたりしないように努めてる。


まあ、黙っていれば怒ってるの?と聞かれるこのキツめの顔も、この職業では急変時にも落ち着いている、冷静との褒め言葉を戴ける。

実際は脇汗びっしょりで口はカラカラで心臓は早鐘を打っていても。


河合クンが脇汗びっしょりだったかは置いといても、あの冷静な指示と笑顔は若手のスタッフを落ち着かせるのには十分だったと思う。

仕事にこんな気持ちは邪魔だけど、でも、笑顔を向けられたスタッフと代わりたかった気持ちも一瞬よぎって、打ち消すように目の前のパソコン画面に集中する。
< 53 / 148 >

この作品をシェア

pagetop