エロスからタナトスへ
今、帰国なんてできない。

彼と離れられるはずがない。

セックス依存だった頃の自分が、

また戻ってきたように、

ジョンフン依存症とでもいえる状態になっていた。

「ジョンフン。帰国なんて・・・

 あなたと一日たりとも離れたくない。」

「気持ちは僕も一緒だよ。

 でも、だから一度離れて、

 新しい風をいれるみたいにしたほうが、

 きっといいんだよ。」

「いや!ジョンフンと離れるくらいなら、死んだほうがまし。

 ね、いっしょに死のう。そうしたら、もう離れなくてもいいんだから・・・」

 泣いていた。泣き声になっていた。

「何ばかなこと言うんだよ!

 だから日本に帰って、友達や家族に会っておいでよ。」

「そんなこと言って・・・ジョンフン。私がいなくてもいいの?」

「そうじゃなくて・・・。戻ってきたら、一緒に旅行しよう。

 約束する。ね、だから、もうそんなに思いつめないで。」

嗚咽は、しばらくおさまらなかった。
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