エロスからタナトスへ
車が着いたところは、映画館だった。

ジョンフンは、さっさと中に入って行く。

こんな人の集まるところ、大丈夫なのかしら?

心配しながらついていったが、誰も私たちに気づかない。

さっきから、どうしちゃったんだろう。

まさか、パラレルワールドに入りこんじゃったとか。

映画は、まさにそんな近未来の外国映画だった。

「こう言う映画って、どうしてアジアではダメなんだろう。」

ジョンフンがポツリと言った。

「たぶん、同じ地球人でも文化的に無理があるんじゃない?」

私は、突拍子もないことをしかも急に馴れ馴れしく言って、

しまったと思った。

「うーん。文化ね。科学の問題じゃないってこと?」

「そう。歴史とか。根底にあるもの。」

「君、なかなか興味深いこというね。」

「だって、ジョンフンのファンだもの。」

「ファンにしておくのもったいないよ。」

「?」

「君にあそこで出会ったもの、偶然ではなかったみたいだね。」

「そう!?ずっと、なんでかと思ってた。」

ジョンフンは、また、伏し目がちに

「ふっ。」

と笑った。

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