おっさんと女子高生

「気を付けろよ。世の中には変な奴がいるんだ。俺みたいに紳士的なイケメンは数少ねぇから」
「わたし、おっさん以外の人についてかない」
「やっぱり枯れ專か」

そう言うと彼女はゲーム機を置いて、両手で俺の両頬をつねる。

「“おっさん”は、貴方のこと」
「………知ってる。冗談だよ」

彼女の頭に手を置いて乱暴に撫でる。それに彼女は無反応でゲームをやっているから、俺は仕方がなく彼女の乱れた髪を手で撫で付けた。

「………父性本能くすぐるな、お前」
「触るなロリコン」
「ロリコンじゃねえ。俺はボッ・キュッ・ボンにしか興味ねぇよ」
「表現がおっさんだね」
「うるせぇ小娘だな」

今までの仕返しにとばかりに、彼女の頬をつねってやる。

「はっ!ふひはひはっ!」

頬をつねられたままで喋りにくいらしい。何と言ってるのかわからないので、指をはなしてやった。

「クリア、した!」
「おっ、マジか」
ゲームの画面を覗くと既にエンドロールが流れている。

「よくやった」
ガシガシと頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに笑った。それは始めてみる彼女の笑顔だった。

「もっと笑えよ、な?そっちの方がかわいいぞ」

彼女はハッと無愛想な顔に戻り、うつむいてしまった。耳が赤いからたぶん照れてる。

妹がいたらこんな感じなんだろうか。何か、凄く、こいつを可愛がってやりたい。

俺にようやく父性が芽生えたか。
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