悪魔の熱情リブレット

甘くのしかかってくる独占欲。

「君は僕のもの…」

ティアナの髪を優しく指で梳き、口づける。

「あんな奴に渡さないよ」

不敵に微笑むとアンドラスはそのまま部屋を出ていった。

「でも…」

一人きりの空間で呟く。

「私が、歳をとったら…きっと…」



――私を捨てるんじゃないの…?



今だけの愛情。

今だけの独占欲。

今だけの嫉妬心。

「そんなの…嫌ぁ…」

もしかしたら、ティアナの考え過ぎかもしれない。

真実を確かめればことは済む。

しかし、聞きたくても聞けない。

もし、ためらう素振りを見てしまったら立ち直れない。

ティアナは泣きそうになる心を必死で戒めた。

(ダメ…。欲張っちゃダメ。ここまで一緒にいてくれただけでも、十分感謝しなきゃ…)


――永久の愛は悪魔に求めちゃいけないの…







 白い悪魔は部屋の扉を閉めてから、そこに寄り掛かった。

先程までの笑みはどこに行ったのか、その表情は暗く悲しげだ。


(わかってよ。ティアナ。僕のどうしようもない愛情…。君となら、死ぬまで一緒にいてあげる。だから、離れていかないで…)


――君の永遠の愛が欲しい…







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