悪魔の熱情リブレット
「う~ん。その最低最悪のどん底悪魔が誰かはわかんないけど、薬草学に長けてる悪魔なら知ってるよ~!」
この言葉に素早く反応したのはアンドラスだった。
「呼べ!今すぐその悪魔をここに呼べ!」
「良いけど、どこにいるかわかんないから、時間かかるかも~」
「構わない!早く行け!」
いつも大方嫌みしか飛び出さない口から切羽詰まったような命令が吐き出される。
ヴォラクは焦るアンドラスを楽しそうに見ながら「じゃあ連れてくるね~」と言って外に出てしまった。
「ティアナの風邪はヴォラクに任せるとして…。アンドラス、ティアナの側を離れて大丈夫なのか?正体不明の悪魔がいるんだろう?」
オセーの心配をアンドラスは一言で破壊した。
「もう、いないよ」
「もう、いない?どういうことだ?」
「気配が感じられないんだ。突然現れて突然消えた」
まるで、いきなり視界を覆ってはすぐに晴れる霧のように。
「…もしかしたら、その悪魔は力の一部を飛ばしてきたのでは?」
シルヴェスターの推測にオセーが「確かに」と頷いた。