悪魔の熱情リブレット


 人間の子供は少し見ない間にかなり成長する。

十一歳になったティアナはここ数年で背が伸び、言葉使いもしっかりしてきた。

「シルシル!早く早く!」

だがシルヴェスターをシルシルと呼ぶのは相変わらずだ。

「あまり急ぐと転びますよ?」

現在二人は町の時計塔の中にいる。

この時計塔は最上階が展望台になっていて、そこからの眺めは最高だ。

ティアナは高いところから遠くの景色を見ることが好きなので、一生懸命長い塔の階段を上がっている。

シルヴェスターをお供に。

「シルシル、もう少しで展望台に着くよ!」

後方にいるシルヴェスターに言いながら木でできた階段を駆け上がる。

狭い上に急なこの階段。

一歩上がるごとにみしみしいう。


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