悪魔の熱情リブレット


 ティアナの体が心配でマルコシアスとの戦闘を一時休戦としたアンドラス。

顔色が悪いティアナを自室のベッドに寝かせたバシンは瞬間移動で教会の庭園へ行き、薬になる草を摘んで戻ってきた。

「バシン、ティアナの体調は…?」

ティアナを体調不良にさせた張本人が恐々と尋ねる。

「あまり良くないが命に問題はないから安心しろい!」

「そう…」

バシンの言葉に安心し、横たわる少女を見つめているとマルコシアスが入ってきた。

「何?まだ休戦中だよ?」

刺々しい声に黒い狼は苦笑する。

「その子は綺麗だな。魂がとても清んでいる」

「あげないから」

「わかっている。欲しいと言ったのは貴様の本気を引き出したかっただけだ。…すまなかったな。こんなことになって」

マルコシアスは好戦的だが誠実な悪魔だ。

彼は素直ではない者や嘘をつくものが大嫌いで、呼び出した人間がそういった性質であった場合、容赦なく切り捨てる。

そんな彼がアンドラスと激しく戦うのは、嫌いな相手を排除しようという気持ちからではない。

むしろその反対で、気に入ったからこそ戦いを挑むのだ。


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