悪魔の熱情リブレット


 翌日の朝、食堂でパンを食べながらティアナはそっとシルヴェスターに尋ねた。

「シルシル、あのね。アンドラスって、その…自分の玩具になら、よくキスするの…?」

白い悪魔は居間にいる。

地獄耳であるから聞かれているかもしれないが、シルヴェスターは正直に答えた。

「いいえ。自分の知る限り、主が『玩具』にキスをするなど有り得ません」

ティアナの質問に何かを理解したのか、彼はきっぱりと告げた。

「もし『玩具』にそのようなことをしたのでしたら、もうそれは『玩具』ではないのでしょう」

無表情なシルヴェスターが表情を和らげた。

微かに笑んでいるように見える。

「え…?玩具じゃないの…?」

(なら今の私は)


――アンドラスにとって、どんな存在なんだろう…




 悪魔と少女の恋物語。

熱情リブレットはまだ始まったばかり。






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