悪魔の熱情リブレット


 招集がかかったのは、人間には厳しい冬の季節だった。

ティアナのために部屋を暖めようと料理場から薪を運んでいたシルヴェスター。

居間に行くとティアナが毛布に包まっているのが目に入った。

早く火をおこそうと暖炉に駆け寄る。

アンドラスは寒そうに震えるティアナを見兼ねて、後ろから抱きしめた。

「アンドラス!?」

突然の温もりに驚く。

「こうした方が寒くないでしょ」

彼は体温を逃がさないよう、腕に力を込める。

「…重い」

善意からした行為に文句を言われ、むっとするアンドラス。

「重いって、失礼だな」

「重いの。放して」

自分の主張を覆さない少女。

頑ななその態度に、彼はしぶしぶ両腕から彼女を解放した。

ほっとするティアナ。

誰も気づいていないが、アンドラスが離れた後の少女の頬はほんのりと上気していた。

まるで恥じらいを覚えた乙女のように。


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