* 禁断の果実 *


「ん?」


不満そうな顔から一転

満面の笑みを向けたマーとアタシを苦笑いで交互に見て




「五人の中の一人って?」




あぁ…(笑)




「なんかね、マー、女装するらしいよ(笑)?」







キョトンとする二人。








まぁ、そうなるだろうね







「女装…?、雅…也くんが?」





「(笑)、うん」






「えっ!?、ちょっ、待って!待って!!

俺、女装なんかしないかんね!?


ユーちゃん誤解しないで!!」





「え…、だって」






困惑する二人が面白かったんだけどお互いが誤解してる事を話すと納得しながら





「てか、それならちゃんと雅也くんに教えてあげてよ!」




「そーだし!、星夏がちゃんと何のメンバー集めか伝えないからいけないんじゃんか!」









アタシが悪かったようにみなされ、攻められる羽目になった。



だけど普通に楽しくて笑ってた






ちゃんと…







ちゃんと笑ってたんだよ…?
















「そーいえば、雅也くん、さっき和哉くんといなかった?」





「あー、うん、いたけど



ほら」







屋上の手すりにつかまりながら前のめり状態で下を指差すマー。










なんとなく察しながらも




マーの指差す方向…






木の下のベンチで仲良さそうにお弁当を食べてる和とサクラに…






笑えなくなって









話ながら食べてる二人が…





和の食べてるお弁当が






「サクラちゃん、和に手作り持ってきたらしくてさぁ、俺、一人になっちゃったんだよね」




アタシが朝、作ったやつじゃなくて…



色違いのバンダナで包んだやつじゃなくて…












見ず知らずのもので…







作ったお弁当を手渡した時の



"さんきゅ"って言う和のはにかんだ姿がフラッシュバックする





















ねぇ…和…



和のせいだよ




和のせいで




いっつも私を無表情にさせる。






泣いてなんかいけないから




奥歯をぎゅっと噛み合わせて

拳の中で爪をたてる。














< 16 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop