。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


ビー!ビーッ!!


煩いほどけたたましい病院の警報機が鳴り響いて、医師たちが駆けつけてくる。


患者も何事か病室から飛び出てきている。


「鴇田先生!!何事ですか!」


他の医師が驚愕の表情を浮かべあたしたち四人を見渡し、ドクターは力なく笑って肩をすくめた。


あたしたちが部屋から出たことで、ターゲットを捕らえられなかったのだろうか、銃撃はすぐに止んだ。


「狙撃された。向かいのビルからだ」


それでも警戒するように声を低めて、鴇田が部屋の扉を睨む。


「…狙撃!?ここの窓は防弾硝子ですよ」


「かなりの威力を持つ銃か、それともかなりの腕を持つ狙撃手かってところだな」


戒があたしを守るように頭を胸の中に抱いて、鴇田と同じように扉の向こう側を探るように見ている。


「とりあえず、早く裏口から出てください。すぐに警察が来る」


ドクターは急かすようにあたしたちを促すと、


「車を至急一台手配してください」とPHSで素早く指示を出している。


「サツ?でも一ノ瀬のおっちゃん(千里の親父)だったら説明すれば…」


と言う言葉を遮って、ドクターが手を挙げた。


「こちらに向かってるのは暴力団担当の一ノ瀬警部補じゃないようです。警視庁の捜査一課だ」


捜査一課……


「ここがいくら普通の病院じゃないと言っても、これだけの銃撃に動かないわけがないです」


キョウスケが視線を険しくさせ、


「俺たちがここに残るのは得策じゃないですね。素直に従った方がいいでしょう」


と決断を下した。


「弟よ、運転は頼んでいいかい?」


ドクターが鴇田をちらりと見て、それを戒が制する。


「待て。運転は響輔にさせる。あんたは俺と後部座席だ」


戒が低い声で提案して、


「これは預からせてもらいます」


キョウスケが鴇田の手から握られた銃を引き抜き、ジーンズの腰にねじ込む。


鴇田はいつもの調子を取り戻したのか軽く肩をすくめてみせた。






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