。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
な、何てタイムリー!!
どうやって会いに行こうか悩んでたときに、偶然でも向こうから来てくれたなんて。
ラッキーもいいところだ。
彩芽さんは和服姿ではなくパンツスーツだった。
髪も下ろしているしいつものふんわり柔らかい雰囲気ではなく、いかにもデキそうなキャリアウーマウン風だった。
ぱっと見分かんなかったけどさすがに二回会ったし顔まで見間違えるわけない。
すぐ近くにスラリと背が高い……(叔父貴と同じぐらいの高身長で年齢も叔父貴と同じぐらいの)これまた高そうなスーツをさらりと着こなした…
う゛!かなりイケメンだなぁ、おい!!と思わず突っ込みたくなるような男を引き連れていた。
ってか誰!?
「ああ…この人はその……クラブの共同経営者みたいなもの。今日は打ち合わせでね」
男の方は一瞬だけ整った精悍な眉をぴくりと動かしたが、
「はじめまして」とすぐに爽やかな笑顔を浮かべた。
…………
何だろう…この男……“普通”な感じじゃない。
一瞬でそう感じた。
雰囲気や、纏う空気が―――
それにこの香り―――…彩芽さんとは違ったメンズものの、爽やかな香り…どこかで嗅いだことがある…
っつてもごく最近じゃなく、かなり昔……あたしがまだ小さい頃の話しだ。
でもこの顔に覚えがない。―――気がする。
「お勉強?大変ね」
彩芽さんが顔に掛かった髪を掻き揚げて耳に掛ける。
その瞬間、やっぱり彩芽さんから、あのオピウムの香りが香ってきて―――
あたしの鼻腔は彩芽さんの香りで満たされた。
「お邪魔しちゃ悪いわね。お勉強がんばってね。
行きましょう、タチバナくん」
彩芽さんは男を奥の席へ促し、男が笑顔で小さく頷いた。