。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。

隠し事!?


◆ 隠し事!? ◆


「おぅ!おかえり!!」



玄関のあがりがまちであぐらをかいて座り込んでいた戒が、あたしを見るとぱっと顔を上げて立ち上がった。


今日別れたときに着ていた私服姿だ。帰ってそのままって感じだった。


戒はあたしを見て、安心したように頬を緩める。


「た…ただいま……お前一人…?キョウスケは??」


「あいつらならまだ帰ってない。どうせ帰りの電車が混んでんだろ」


と、戒はそっけなく言って僅かに視線を逸らす。


「そ…そっか」


「「…………」」


ヤバイ!!


沈黙が重い!


「…あ、あのさ!」


重苦しい沈黙を破ったのは戒の方だった。


「は、はい!なんでしょう!!」


ってか、あたし何て受け答えしてんだよ!


これじゃ何かあったってバラしてるもんじゃねぇか。


それでも戒はあたしの不自然さに全然気付いていないのか、バツが悪そうに俯く。




「今日は―――ごめんな。




花火大会一緒に行けなくて」






搾り出すようにつむぎだした言葉に、あたしを気遣う優しさが滲み出ていた。


こいつだって本当は楽しみにしていたのに、あたしの気持ちを優先させてくれて、


だけど心配だったろうに、それをあたしには見せない。





「戒」





あたしは下駄を履いたままの姿で、戒の腰にぎゅっと抱きついた。






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