。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


「まさか。俺はロリコンじゃない」


ろ、ロリコン……


「俺が愛するハニーは一人だけさ」


と肩を竦めてにこやかに笑うタチバナ。


キザ過ぎる台詞なのに、何故だかさまになってるし。


「ほら。せっかくお前が有休とって買い物してるってのに、不機嫌になるんじゃねぇよ」


タチバナはこの(似非)爽やかお兄さんを宥めるようにして先を促した。


友達、なのだろうか。


彩芽さんと居るときより随分くだけた感じ。


それでもお兄さんは疑うかのように目を吊り上げて、


「嘘くせぇな」とブツブツ。


「仕事の関係でちょっと知り合った程度だ。ほら、行くぞ」


と強引にお兄さんの腕を掴み、引っ張っていくタチバナ。


「仕事って!?え!!ち、ちょっと!」


お兄さんはタチバナに引っ張られるようにして連れて行かれた。それでも律儀にこちらを振り返り、


「なんかごめんね」と申し訳無さそうに謝ってくる。


いい人!オーラ全開なあの人には裏は微塵も感じられない。


何かを隠してるってワケでもなさそうだ。


「てか、手!!いつまで掴んでんだよ!!」


とお兄さんは喚きながらも引き連れられていく。


反対のタチバナは―――あたしと一秒でも早く離れたがっているように見えた。


「リコ!あたしたちも行くよ」


今度はあたしがリコの手を掴んで、あたしもタチバナのあとを追った。


「え?行くってどこに!」


「決まってんだろ。あいつの正体つかみに行くんだよ!」


「え??それって尾行ってこと!」


「そう!」


あたしは頷いてリコの手を引っ張った。





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