。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


――――


しまったぁ!またも“龍神社”のこと聞くの忘れた!


この忘れっぽい頭、何とかしてくれよ!


と気付いて頭を抱えている横で、戒が腹を押さえながらぐったり。


バイトの時間まで戒のお部屋で一緒に夏休みの宿題をやってたのに、戒は途中で具合が悪くなったみたいで、今は顔を青くして横になっている。


「…くそっ!あいつ…マジで許さねぇ…」


と呻いている戒。


どうやら賞味期限切れのプリンがあたったみたい。


さすがの戒も一週間も期限が切れたプリンは無理だったみたいだ。


プリンは卵とか牛乳とか、見るからにヤバそうなもんばっか入ってるからな。


「おい、大丈夫かよ。バイト休むか?」


とあたしは戒の元に屈みこんで、こいつの背中を撫でさすった。


「…行く。休むわけにはいかねぇ。休んだらあいつに負けたことになる」


戒はぎりぎりと歯を鳴らして、畳に爪を立てた。


何の勝負してんだよ。


って呆れながらもやっぱり心配で、あたしは台所の戸棚から腹痛の薬を持ってきた。


「期限切れじゃねぇだろうな」


と疑いながらも錠剤を口に放り込む戒。


「確認したら、再来年までオッケーだったぜ?大丈夫だ!」


「サンキュ。男はただでさえ腸が弱いっつうのに…」と言いかけて戒は立ち上がった。


「ごめん、トイレっ!」


とバタバタと廊下を駆けていく戒。


可哀想に……


哀れみの視線でその後ろ姿を見送っていると


~♪チャリラ~


リコから電話が掛かってきた。







< 456 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop