。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
顔色を青くさせながら腹を押さえていた戒は、あたしが電話してることに気付くと慌てて口を噤んだ。
「わり。電話中だった?」
「あ、うん。リコから」
まだ通話途中だった送話口を手で塞いで、戒を見上げた。
そだ。ちょーどいい。
「なぁ戒~、今リコと話してるんだけど~、あたしたちピクニック行こうってことになったんだ。
お前とキョウスケも一緒に来ない?」
ダメ元で誘ってみた。
「……ピクニック…?」
戒は一瞬眉を潜めて、
あ、やっぱこいつにそんな健全なデートを求めるあたしが間違ってたのか、と早くも諦めモード。
だけど
「何それ!超面白そうじゃん♪」
予想に反して戒が食いついてきた。
「行く行く~♪」とさっきまで腹痛で苦しんでいたと思えないほど元気だし。
と言うわけで、キョウスケも勝手にメンバーに入れてお出かけすることに決まった。
―――
「俺、ホントは朔羅をどこか外に連れ出そうとしてたんだ」
まだ薬の効き目が現れないのか、腹を押さえながら顔を青くさせながらも宿題のレポートにペンを走らせている戒。
「つ、連れ出そうと!?」
あたしは思わずぎゅっと自分の体を抱きしめた。
「ばぁか。違げぇよ。ま、そうなったらいいな~とは思うけど、お日様が照ってる時間帯に堂々と手を繋いでお外デートしたかったの」
と戒はあたしに軽くデコピンしてきた。