。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
長い髪が風で揺れて、大きな目があたしを不思議そうに捉えている。
顔立ちが整った、可愛い子だった。年齢にして、五歳ぐらいってところか。
「誰?」
女の子の口元が小さく動いて、あたしは何て答えていいのか分からず思わず口ごもった。
これはあたしの夢な筈なのに…
あんたこそ誰?って感じだ。
「おにいちゃん、あの人だぁれ」
女の子が手を繋いでいたもう一人の方を急かすようにして手を引いた。
―――お兄ちゃん……
雪斗―――…じゃない……?
それにこの子…どこかで見たことあるような…
白い肌に浮かんだ赤い唇。その横に印象的なほくろがあった。
そのほくろのせいか、年齢を曖昧にしている気がしている。
あれ―――でも……あのほくろの位置……
あたしが目をまばたいていると、もう一人の方“おにいちゃん”の方がゆっくりと振り返った。
その様子に集中していたからかな、いつの間にか女の子の姿がなくなっていることに気付くのが遅れた。
でも夢だし…突然現れたりがあるんだから、突然消えるのだってありえないことない。
白いマントの人物は目深にフードを被り、顔が良く見えない。
さっきは小さく見えたのに、いつの間にかあたしより身長が高い
―――男?の姿に変わっていた。
「誰―――……」
男が薄く笑い、フードに手を掛けた。
ゆっくりとフードを外すその仕草を目に入れて、
やがてそのマントの人物はフードを取り外した。
―――……!