。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


―――


俺は響輔の助けを借りて自分の部屋に戻ると、響輔は手際よく布団を敷いて俺を寝かしつけた。


「きょ、キョウスケっ!言われた通り、胃薬持ってきたぞ!あ、あと白湯。


あ、あとホットミルク」


ユズさんがお盆に胃薬の包みとグラスとホットミルクのマグカップを持って慌てて入ってきた。


「てかホットミルクて大丈夫なんか?腹痛いってのに…」


「ありがとうございます。牛乳は胃の粘膜を保護する働きがあるんです。


腸の場合はダメですけれどね。痛みは胃からきてるようなので


ホットミルクは寝つきを良くするのにも効果的なんですよ」


「そ…そっか。さすがだな…」


とユズさんはそれでも心配そうに俺を覗きこんでくる。


俺は差し出された薬を白湯で流し込んで、


「これも飲んでください。あなたは怒りっぽいからカルシウムを取らないといけません」


といつもの調子に戻ってホットミルクも勧めてくる。


俺はそれに何も言い返すことなく…てか言い返せん。


漢方薬独特の苦味を含んだ粒状が喉にはりついてホットミルクを飲むと、ちょっとすっきりした。


「お騒がせしてすみませんでした。


今日は俺がメガネくんについているので、ユズさんも自分の部屋で休んでください」


響輔が部屋の外を促すと、ユズさんは最初心配にしていたものも、


「…俺がついてても何も役に立たないしなー…」と恥ずかしそうに苦笑い。


「いえ、色々ありがとうございました」


響輔が礼を述べて頭を下げると、


「な、何かあったら叩き起こせよ?今度は救急車呼ぼうぜ」


と、気にしたように部屋を出ていった。


俺はユズさんが閉めた襖を見つめて、






「あの人さ…ユズさん。


川上を好きだから協力してくれって言う困った人だけど




いい人だよな」






俺が苦笑いで響輔に笑いかけると、


「そうですね」


響輔もちょっと笑顔を浮かべて、俺の寝ている布団に入り込んできた。










「俺、今は何も聞きません。



戒さんが





まさか胃を壊すまで悩んでいたなんて―――知りませんでした」









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