。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




ドカッ!


あたしは反射的にキョウスケの腹を蹴り飛ばしていた。


油断していたのか、キョウスケはあっけなく後ろに倒れ、


ドタッ!


派手な音を立てて床に背中を打ちつけた。


「痛っ!」


打った頭とあたしに蹴られた腹とを押さえながらキョウスケがうめき声を上げる。


「ご、ごめんっ!!蹴るつもりはなかったんだ!」


は、反射的につい手が…てか脚か??


全然怖くなかったし、独特の嫌悪感も抱かなかったのに


無意識に抵抗したみたい。


しかも軽く蹴ったつもりが、結構な威力だったのかキョウスケは腹を押さえて、


小さく咳をしながら暫く床の上で背中を丸めている。


「ホントにごめん!」


慌ててキョウスケの元に屈み込むと、


「大丈夫です…俺が悪かったので…」


と苦しそうに一言呟いて、それでも何とか起き出した。


「俺こそ、すんまへん。


こんな…お嬢が弱ってるときにつけ入るのは卑怯ですね」


ううん…


あたしも…あたしも一瞬だけ、その手に縋りたくなった。


キョウスケの温かい手に包まれて、優しいキスをして、何もかも委ねて守られて。


キョウスケだったら絶対にあたしを裏切らない。


心配させない。




でも


やっぱり






戒が好き。



たとえ戒にどんなことがあろうと―――あたしは





戒が好きなんだ。





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