。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
響輔はイチに銀座にあるデパートに連れて行かされ、その後も嫌がる響輔を散々連れまわしたようだった。
別れてからも、なぜか電話攻撃は続き、心身ともに響輔は憔悴しきっている。
この響輔をここまで追い込むたぁ……
嫌がらせか、それとも―――…
俺は目を細めて響輔を下から覗きこんだ。
「何ですか?そんな睨み効かせて」
響輔がため息を吐いて俺を見下ろしてくる。
この無気力響輔に、イチが―――好意を寄せてる?
だったら響輔をホテルに呼び出したのも納得がいく。
じー…
俺が見つめていると(睨んでいると)、唐突に笑えてきた。
イチが響輔に恋!?何それ、ウケる!!
(まだそうとは決まったわけじゃないが)
大体響輔の好みはイチみたいに華やかな美人じゃなく、大人しめでおしとやかなお嬢タイプの女だ。
しかもこいつは超がつくほど鈍感野郎ときてる。イチも哀れだな。こんな男に惚れちまって。
しかし、ここはその気持ちを逆手に取らない手はない。
だがしかし、俺はそう言う人の好意を利用するのはどうも好かん。
ま、様子見るか……
様子見…
「一結は体のどこにも紋がありませんでした。組織の関係者の線が少し薄れてきたように思えますが」
「へぇ~そうなんや…」
って…はぁ!?
「体って…お前ホテルで何もなかった言うたやん。…響ちゃん……まさか今日イチの裸を見る関係に発展したんかよ」
負けた…俺だって朔羅と出逢って半年近く経ってるっていうのに、あいつとは“まだ”なのに。
響輔、展開が速すぎるぜ!
ガクリ、と項垂れていると、
「してまへん。試着室で着替えてるとこ覗いたんです」
覗き……
「戒さんかてお嬢にしてはったでしょう?俺は堂々と覗きましたが」
覗きに“堂々”とかあるのかよ!
つか俺だってこそっと覗いたわけじゃないぞ?俺をムッツリみたいに言うんじゃねぇ!
そう突っ込みたかったが、
なかなかやるな、響輔も。