オノマトペ
そうして向かった玄関前で、拓斗とばったり出会う。

「あ、拓ちゃん、私これから善くんのところに文を届けてくるね」

「え、今から?」

拓斗は眉を顰める。

それはそうだ。

もう外は暗闇に包まれだしている。大抵のご家庭では夕飯の時間である。

「駄目だよ花音。門限は“暗くなる前”だよ。明日の朝、宿題を終えてからにしなさい」

と、拓斗は妹に言い聞かせる。

高校生に向かって門限は暗くなる前、というのも厳しい話のような気もするが。そこはそれ、妹を心配する優しき兄心というものだ。

「メイちゃんと一緒に行っても駄目?」

『メイちゃん』とは、花音専属執事南原のことだ。

花音の三歩後ろでスラリと背の高い長い黒髪の美しい執事が、拓斗を見て少しだけ肩を竦めてみせた。拓斗はそれに頷いて。

「あまり遅いと夕城先生たちにも迷惑だからね」

微笑みながら、優しく説得をした。

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