オノマトペ
そんな2人は同時に花音へ視線をやる。

花音はうーん、と首を捻っては、左側に置いてある電子ピアノ──周りをウサギやクマのぬいぐるみでデコレートされた桃色ファンシーな世界──に手を伸ばし、ぽろんぽろんと音を鳴らしている。

それからまたうーん、と頭を捻り、机に向かう。和音が後ろにいることになどまったく気づいていない様子だ。

「花音、何をしているんだい?」

後ろから手元を覗き込むように声をかけると。

「ひゃあっ!?」

驚いた花音が急に頭を上げた。

ふいの出来事に、避けきれず。

ごっつーん! と勢い良く顎を打ち砕かれた。

「………………」

花音は頭を抱えて机に突っ伏し、そして和音は顎を押さえて床に蹲る。

しばらくして、先に立ち直った花音が、「ごめんね、ごめんね」と涙目でオロオロと兄の顔を窺う。

それを見ながら「馬鹿ねぇ」と笑う南原と、その頭に拳骨を飛ばす西坂という、妙な執事たち。

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